こんにちは、辰川です。
今回も、引き続き、登記の話をします。
まず、あなたに質問です。
購入したい土地の謄本をみると、「仮登記」の記載があった。
そのときあなたは、どうしますか?
つまり、売主から別の人(第三者)への仮登記(所有権移転請求権仮登記)が付いていた場合、
さて、このまま買ってもよいのか?ということ。
これに対する正解は、
「取引自体は可能ですが、リスクがあるので止めたほうがいい」となります。
ところで、仮登記とは、一体何なのでしょうか?
実は、所有権に関する「仮登記」には、次の2種類があります。
まず1つ目のパターン。
例えば、BがAから中古住宅を買い受ける契約を締結し、実際に所有権が移転しているのに、
Aが権利証を紛失したため、AB間の移転登記申請の際に添付できない場合の仮登記です。
このタイプの仮登記を、「所有権移転仮登記」といいます。
次に2つ目のパターン。
例えば、AがBに借金を返済できないとき、金銭の代わりに不動産を提供するという、
「代物弁済予約」を行うための仮登記があります。
この場合、借金を完済すれば代物弁済予約も不要になるので、抵当権抹消と、
所有権移転請求権仮登記抹消の書類を、抵当権者(債権者)から受け取ることができます。
このタイプの仮登記を「所有権移転請求権仮登記」といいます。
さて、仮登記を行う目的とは何なのか?
それは、将来生じるであろう本登記の順位の確保にあります。
つまり、登記には早い者勝ちというルールがあり、
先に登記を行った者が優先的に対抗力をもつことになります。
そうはいっても、仮登記はあくまで「仮」なので、所有していることにはなりません。
しかし条件が整わなくても、とりあえず仮登記を入れておけば、「順位」は保全されますから、
条件が整った暁には、仮登記を本登記(所有権移転登記)にすることができるのです。
本登記になれば、仮登記した日に遡って効力が生まれるので、仮登記より順位が後のものは、
登記官(法務局)の職権で抹消されてしまいます。これって、怖いですよね。
例えば、土地登記簿にAの所有権移転仮登記と記載されているとして、
後日、Bへ所有権移転、さらにCへ所有権移転されたとします。
この場合、所有者はCですが、Aの仮登記が本登記になると、BやCの所有権は抹消されて、
Aは仮登記をした日に遡って所有権を有するので、所有者はAとなるのです。
つまり、Aが仮登記したことで、この登記が本登記になるまでの間に行われた、
第三者の登記を全否定できるのです。
従って、所有権を変更する場合には、けっして仮登記を放置したままにせず、
仮登記をした人の協力のもと、必ず仮登記の抹消しておかねばなりません。
いかがでしたか?
仮登記の付いた物件を購入することは、大きなリスクを伴います。
あなたが購入を考えている不動産の登記簿に、もし「仮登記」が入っていたら要注意です。
それではまた。