こんにちは、辰川です。
ふつう違反建築と聞くと、おちおちと人も住めないような欠陥だらけの
住宅ではないかと想像しませんか?
でも、こうした物件のほとんどは、「建ぺい率」と「容積率」のオーバーによって、
違反建築と呼ばれているのです。
当時、大阪や奈良などの住宅地は地価が高くて、
十分な広さの新築一戸建てを持とうとすると、
建ぺい率や容積率の関係で狭い敷地では無理でした。
では、なぜ、こうした違法建築があるのかというと、
事業者である不動産会社のモラル欠如はいうまでもないのですが、
当時の金融機関が住宅ローンを貸し出すことを優先し、
違法建築には目をつぶっていたからです。
例えば、敷地100?の土地に、建ぺい率50%、容積率80%の
家を建てようとすると、ふつうなら2階建てで延べ面積80?(約24坪)の
家しか建てられません。
ところが、吹抜け部分は建築面積には含まないのをよいことに、
2階に大きな吹き抜けを設計申請し、あとから床を貼って2部屋分を増します。
80?を超える建物になっても、銀行は検査済証を取得を求めませんから、
住宅ローンは堂々と通るのです。
このように、半ば公然と違法に新築住宅は建てられてきたという経緯があります。
迷惑を受けたのは、今では違反建築とみなされた住宅の売主です。
違反建築ゆえに住宅ローンが使えないとなると、売買取引上、
不利になりますから、まったく気の毒な話です。
建ぺい率や容積率が守られていないことは良くありませんが、
多くの違法建築は欠陥住宅と相関性はありません。
現在、金融機関も中古住宅については、建蔽率や容積率にオーバーが10%以内を超える範囲内であれば、
住宅ローンの審査対象としているようです。これは、いわば救済措置でしょうか。
いまでは、新築一戸建てに対するローン融資は、検査済証の取得が前提になりましたから、
新たに違法な中古住宅が発生することはなりなりました。
それではまた。